「働き方改革」とは?基礎知識から国の取り組みまで徹底解説

「働き方改革」という言葉を一度は耳にしたことがありますよね。

言葉自体を知ってはいるものの、具体的な内容まで知る人は少ないのではないでしょうか。

簡単に説明すると、労働者が自分で働き方を選べるようにするための改革です。

「年次有給の取得義務化」も働き方改革の1つです。

本記事では、働き方改革の基礎知識から国の取り組みまでを紹介します。

自分の労働環境の見直しや会社の見直しをしたいという方は、参考にしてみてください。

働き方改革とは

参照:写真AC

個人の事情や能力、意思に応じて多様で柔軟な働き方の選択を可能にすることで全ての人の働きやすさの実現を目指すことが大きな目的として挙げられます。

2019年の厚生労働省の発表では、『働き方改革とは、働く人々が、個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を自分で「選択」できるようにするための改革』と定義されています。

労働者が希望に沿った働き方ができれば、本人の幸福にも繋がり、作業効率も向上することになります。

働き方改革の背景

働き方改革の背景として挙げられる大きな理由の一つが「労働人口の減少」です。

日本の人口は2008年がピークでありそこから減少傾向になっています。

それに伴い労働人口(15歳以上人口のうち、就業者と完全失業者を合わせた人口)も減少傾向にあることが現状として挙げられます。

総務省統計局の公表によると、労働人口は2013年より増加傾向にあったものの、2020年には減少しています。

労働人口の推移を追うと、2010年から2020年までの10年間で6,047万人から5,946万人にまで減少しています。

日本は少子高齢化社会であり、2030年には高齢者の割合が人口の1/3にまで上昇すると言われています。

こうした状況下で国の経済を維持していくために、「働き方改革」が必要と言えます。

働き方改革の目的

日本は少子高齢化に伴い労働人口が減少しています。

労働人口の減少によって働き手が減り、労働者の負担が増加しているのが現状です。

そういった現状を回復させるために「働き方改革」が存在します。

働き方改革の目的を「出生率の回復」「労働人口の増加」「労働生産性の向上」の3つに分けて紹介します。

出生率の回復

hata労働人口を増加させるためには、出生率を上げて少子高齢化を止める事が必要です。

しかし出生率は減少傾向にあります。

その原因として、女性が仕事と育児の両立が難しい環境や結婚・出産により失われるキャリアの問題から、出産に対して消極的な女性が増加した事が挙げられます。

そういった問題を解決するために、国が出産後も働きやすい環境整備を行うことで出生率の向上が見込まれます。

労働人口の増加

「労働力」として認識される「生産年齢人口」は15歳以上65歳未満です。日本の生産年齢人口は減少傾向にあります。

労働人口を増加させるには、生産年齢人口に該当する方だけではなく、高齢者など働く意思のある方を積極的に登用することも大切です。

働き方改革によって労働環境を多様化することで、高齢者や育児中の方、障害をもった方もその人にあった環境で働く事ができます。

そうすることで労働人口の増加にも繋がります。

労働生産性の向上

労働生産性とは「労働者1人当たりが生み出す成果」「1時間当たりに生み出す成果」の指標です。

日本における1人当たりの労働生産性はOECD加盟国の38か国のうち29位です。

労働生産性を向上させるには、効率を向上させる投資の強化やマネジメントの見直しなど労働者1人当たりの生産性を高めるための変化を加える必要があります。

働き方改革における国の取り組み

参照:写真AC

「働き方改革」には以下のようなメリットがあります。

企業側のメリット労働者側のメリット
・労働生産性の向上
・人材不足の解消
・プライベートとの両立
・働き方の選択ができる

働き方改革を行うにあたって、日本ではさまざまな取り組みを行っています。

具体的な例を紹介します。

労働時間の客観的な把握

企業では労働安全衛生法の改正により、労働時間の把握が義務付けられました。

長時間労働の抑制や労働者の健康管理をより強化するためです。

具体的な労働時間の把握方法として、勤怠管理システムやICカードによる入退室記録が挙げられます。

企業は適切な勤怠管理システムを導入することが必要になります。

労働時間を客観的に把握する事で、労働者の健康管理に繋がります。

時間外労働の上限規制を導入

労働者の働きすぎ防止として時間外労働の上限規制が導入されました。

原則として「月45時間、年間360時間」以上の時間外労働が禁止されています。

特別な事情がある場合には「月100時間未満、年720時間未満、複数月平均80時間未満」の時間外労働が認められています。

時間外労働の上限規制は企業にとって避けられない重要な規制です。適切な勤怠管理と業務効率化が必要になってきます。

時間外労働の割増賃金率の引き上げ

月60時間を超える時間外労働に対して、中小企業では割増賃金率が25%でした。

しかし2023年4月以降に中小企業と大企業の割増賃金率が50%に統一されました。

割増賃金を正しく支払うためには適切な勤怠管理が必要になります。

また、「代替休暇制度」の導入も検討する事ができます。

代替休暇制度とは月60時間を超える時間外労働に対し、割増賃金を支払う代わりに有給休暇を付与できる制度です。

企業側は費用負担軽減ができ、労働者も休暇を取得できます。

導入には労使協定の締結が必要です。

年5日の年次有給休暇取得の義務化

「年次有給休暇」は労働者がリフレッシュを図ることを目的とした仕組みです。

原則として、労働者が請求する時季に年次有給休暇を付与することになっています。

しかし、これまでは休暇を取りづらい環境や遠慮する気持ちなどから取得率が低くなっていました。

年間10日以上の有給休暇が付与される労働者には、年5日以上の有給休暇を必ず本人の意思で取得させる事が義務付けられました。

労働者の有給取得率を向上させ有給休暇を取得しやすい環境の構築が大切です。

待遇に関する説明義務強化

有期雇用者に対しても労働条件や待遇の内容を雇用主が労働者に説明する義務が新たに定められています。

正社員と同等の透過性を有期雇用者にも保証し、雇用形態に関わらず公正な待遇の確保が目的です。

企業には、契約期間や労働時間、休暇や給与計算の基準といった雇用条件の開示が求められます。

「フレックスタイム制」拡充

「フレックスタイム制」とは、労働者が自ら始業・就業時刻や労働時間を決める制度で、仕事とプライベートのバランスを取りながら働く事が可能になります。

フレックスタイム制だからといって、24時間いつでも自由に出退勤できるとは限りません。

企業は「コアタイム」という、1日の中で必ず出勤していなければならない時間帯を設ける事ができます。

コアタイムの前後の時間が自由に出退勤できる時間(フレキシブルタイム)です。

コアタイムを設ける目的として、労働者同士のコミュニケーションや情報共有の円滑化です。

全員が揃う時間が無いとミーティングや商談の予定を組むことが困難になります。

また、コアタイムを設けていない企業も存在します。

こうしたコアタイムのない働き方は「スーパーフレックスタイム制」と呼ばれます。

「勤務間インターバル制度」の導入

勤務間インターバル制度とは、終業時間から次の始業時間までに一定時間のインターバル(休息時間)を設ける制度です。

これにより労働者が睡眠時間や休息を十分に確保できるようになります。

インターバルの時間は企業が決める事ができます。

日本では、インターバルの時間を9時間以上11時間未満、または11時間以上のインターバル制度を導入し、定着させることを推奨しています。

2019年4月より勤務間インターバル制度が努力義務となったため、企業はできるだけ休息時間を確保できるよう努める事が重要です。

「高度プロフェッショナル制度」導入

高度プロフェッショナル制度とは、特定の年収要件(年収1,075万以上)を満たす専門職に従事する労働者に対し、「労働時間」「休憩」「休日および深夜の割増賃金」に関する規定の適用から除外する制度です。

該当する業務は以下の通りです。

・金融商品の開発
・金融商品のディーリング
・アナリスト業務
・コンサルト業務
・研究開発業務

働き方の多様性を促進することが目的であり、高度な知識が必要な専門業務の場合に、特定の労働基準法を適用外にする事で、柔軟な働き方を実現しています。

産業医・産業保健機能の強化

労働者の健康管理やメンタルヘルス不調など、健康リスクの高い労働者を見逃さないために必要なのが産業医による直接的な面接指導や健康相談です。

2019年4月に働き方改革の取り組みとして、産業医・産業保健機能の強化を図りました。

産業医が中立・独立性を持って職務を遂行するための仕組みが強化され、企業側が労働者の健康情報を適切に取り扱うことが必要です。

まとめ

参照:写真AC

本記事では、働き方改革の目的から国の取り組みまでを紹介しました。

「働き方改革」とは、全ての労働者が事情に応じた多様な働き方を選択できるようにするための改革です。

近年、日本では出生率の低下や労働人口、労働生産性が低下しています。それらを向上させるために日本ではさまざまな取り組みが進められています。

働き方改革において重要なのは、企業と労働者が協力することにあります。

労働者が自己中心的な考えで行動したり、企業が売り上げだけを考えていたりすると、労働環境は良くなりません。

互いに協力し合うことが改革に繋がり、より良い企業に発展していきます。

労働環境の改善とともに企業の発展を目指してみてください。

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