【COTONARI初のオンラインセミナー開催】
講師:萩原ひろこ氏 | 形式:オンライン(約30分) | 参加費:無料
これまで多くの個人事業主の独立・副業をサポートしてきたCOTONARIが、今回新たな試みとしてオンラインセミナーを開催いたしました。
「独立してみたいけれど、何から始めればいいかわからない」
個人事業主として働くことへの関心が高まる一方で、開業の手続きや税金の仕組みは複雑に見えてしまいがちです。
本セミナーは、そうした疑問に正面から答える場として設けたものです。
講師には、22歳で独立し、現在40社以上のバックオフィス業務を手がける萩原ひろこ氏をお招きしました。
豊富な実務経験に裏打ちされた、具体的で実践的な内容をお届けできたと考えております。
本レポートでは、セミナーの内容を「失敗しない個人事業主の始め方」としてまとめ、ご参加いただけなかった方にも学びを共有いたします。
独立・副業を検討している方のお役に立てれば幸いです。
講師プロフィール:萩原ひろこ氏
萩原ひろこさんは、大学で簿記・経営学を学び、卒業後すぐ22歳で独立した経営者です。
2024年で会社設立から5年を迎え、現在は40社の会計業務・人材派遣・総務などのバックヤード業務を幅広く請け負っています。
「経理や総務は中小企業にとって大きな負担です。でも外注すれば、企業側も個人事業主側もメリットがある。まさにウィンウィンの関係です」と語る萩原さん。
豊富な現場経験から語られる言葉には、理論だけでは得られない説得力がありました。
個人事業主とは何か? 基本から整理しよう
「フリーランス」と「個人事業主」は同じ意味で使われることも多いですが、税務上は異なります。
混同したまま活動を始めてしまうと、手続きの漏れや損につながることも。
まずはこの二つの違いをしっかり押さえておきましょう。
個人事業主の定義
個人事業主とは、継続・反復して事業を行う個人のことです。
つまり、単発ではなく継続的に仕事を受注・提供する個人が該当します。
フリーランスと混同されることも多いですが、厳密には異なります。
フリーランス … 開業届を出さずに単発案件をこなす働き方
個人事業主 … 開業届を提出し、税務上の個人事業主として正式に認められた状態
フリーランスが開業届を提出すると、税務上の個人事業主になれます。
手続き自体はとてもシンプルで、費用もかかりません。
なぜ個人事業主の需要が高まっているのか
会社側の視点から考えると、従業員を雇うにはさまざまなリスクが伴います。
社会保険料の負担・解雇規制・労務管理など、採用コストは決して小さくありません。
そのため「雇用するより外注したほうが合理的」と判断する企業が増えています。
個人事業主にとっても、複数のクライアントと取引できる自由度や、経費を活用した節税メリットがあります。
企業と個人事業主、双方にとってメリットのある関係が成立しやすくなっているのが、現代の働き方の実態です。
開業届を出すと、個人事業主になる実感が湧いてくる
「開業届は無料で出せます。屋号も自分で自由に決められるので、ぜひ好きな名前をつけてみてください」
萩原さんは開業届の書き方を説明しながら、屋号の決め方についても触れていました。
屋号とは、個人事業主が事業を行う際に使うビジネス上の名前のことです。
法人のように会社名を登記する必要はなく、好きな名前を自由につけられます。
「自分だけの屋号を決めた瞬間、”いよいよ個人事業主になるんだ“という実感が湧いてくる方が多いです」と萩原さん。
書類上の手続きであると同時に、独立への気持ちを高めてくれる大切なステップでもあります。
開業届を提出しないままでいると、次のようなデメリットも生じます。
- 社会保険(国民健康保険・国民年金)への切り替えがスムーズにいかないケースがある
- 青色申告が利用できず、節税メリットを享受できない
- 後から確定申告が必要になった場合、延滞税が発生する可能性がある
開業届自体は無料で提出でき、デメリットはほぼありません。
萩原さんは「迷うなら出したほうが絶対に得」と断言していました。
給与所得と事業所得の違いを理解する
個人事業主になると、収入の受け取り方や税金の仕組みが会社員とは大きく変わります。
この違いを理解しておくことが、正しく節税するための第一歩です。
会社員とフリーランス、収入の仕組みはまったく異なる
会社員は「給与」として収入を受け取り、会社が所得税を毎月天引きします。
年末には年末調整で精算されるため、自分で確定申告をする必要はほとんどありません。
一方、個人事業主の収入は「事業所得」として扱われます。計算式は次のとおりです。
売上 - 必要経費 = 利益(事業所得)
重要なのは、「必要経費を差し引いた後の金額」に対して税金がかかるという点です。
仕事に必要なPC・通信費・交通費・資料代などを経費として計上することで、課税対象の所得を合法的に減らせます。
「手取り」で比較すると、個人事業主のほうが有利になりやすい
萩原さんがセミナー内で示した比較データが非常に明快でした。
同じ「400万円」でも、会社員と個人事業主では手取り額に差が出ます。
| 項目 | 会社員(年収400万円) | 個人事業主(所得400万円) |
|---|---|---|
| 平均手取り額 | 約314.8万円 | 約319万円+経費分 |
| 家賃・カフェ代など | 全額自己負担 | 按分で経費計上できる場合あり |
差額は約4万円に見えますが、経費の使い方次第でその差はさらに広がります。
では、実際にどのように経費を管理すればよいのでしょうか。
経費管理の具体的な方法
個人事業主が経費を正しく管理するうえで、まず押さえておきたいのが「事業に関係する支出かどうか」の判断基準です。
仕事のために使ったお金であれば、原則、経費として計上できます。
代表的な経費の例を挙げると、次のようなものがあります。
・PC・スマートフォン・周辺機器などの機器購入費
・インターネット料金・携帯電話料金(通信費)
・仕事で使う書籍・セミナー受講料(研修費・図書費)
・自宅を仕事場として使う場合の家賃・光熱費の一部
自宅家賃や光熱費のように、プライベートと仕事を兼ねて使うものは「按分(あんぶん)」という考え方で経費計上します。
たとえば、自宅の作業スペースが部屋全体の30%にあたるなら、家賃の30%を経費として計上できます。
つまり、個人事業主は経費をうまく活用することで、課税対象となる所得を自分でコントロールできます。
会社員には難しい「自分で節税する」という選択肢が、個人事業主には開かれているのです。
会社員・フリーランス・法人の違いを整理する
「独立」と一口にいっても、立場によって制度や税務上の扱いはさまざまです。
萩原さんはセミナー内で4つの働き方を明確に整理してくれました。
各立場の特徴
会社員
会社員は、就業規則に従い、会社の指示のもとで働きます。
収入は安定していますが、経費の自由度は低く、節税の手段も限られます。
フリーランス(開業届なし)
フリーランスは、開業届を出さずに単発案件をこなすスタイルです。
気軽に始められる反面、青色申告が使えないなどのデメリットがあります。
個人事業主(開業届あり)
個人事業主は、開業届を提出し、税務上の個人事業主として認められた状態です。
青色申告が使え、節税の幅が広がります。
自由に働きながら税制上のメリットも享受できる、バランスのよい働き方といえます。
法人
法人は、会社として登記した状態です。
経費に計上できる項目が個人事業主よりも多く、社会的信用も高まります。
ただし設立・維持のコストがかかるため、一定の所得を超えたタイミングや事業規模が拡大したときに法人化を検討するケースが一般的です。
「最初から法人化を目指す必要はありません。まずは個人事業主として実績を積み、必要に応じて法人化すればいい」(萩原さん)
個人事業主になるための申請手続き3ステップ
開業に必要な手続きを順に3つ解説していきます。
開業届の提出
開業届は、税務署の窓口に持参するか、国税庁のWebサイトからPDFをダウンロードして郵送で提出できます。
事業を開始した日から1か月以内に提出するのが原則ですが、遅れてもペナルティはありません。
ただし、提出が遅れるほど青色申告の適用開始が後ろ倒しになります。
早めに提出するほうが節税面でも有利です。
青色申告承認申請書の提出
開業届と同時に提出しておきたいのが「青色申告承認申請書」です。
確定申告には「白色申告」と「青色申告」の2種類があります。
- 白色申告:手続き不要だが、特別控除なし
- 青色申告(簡易簿記):10万円の特別控除
- 青色申告(複式簿記):55〜65万円の特別控除
複式簿記で申告すると控除額が大きく、所得税・住民税の節約につながります。
ただし、書類の不備があると簡易簿記扱いになってしまう可能性もあります。
所得が安定してきたら、税理士や会計事務所に依頼するのが確実な方法です。
健康保険の手続き
会社を退職して独立する場合、健康保険の切り替えが必要です。
主な選択肢は2つあります。
・国民健康保険に加入する(市区町村の窓口で手続き)
・退職前の社会保険を任意継続として最長2年間継続する
保険料の金額は個人の収入状況によって異なります。
退職後14日以内に手続きが必要な点にも注意が必要です。
どちらが有利かをシミュレーションしてから選びましょう。
セミナーで飛び交ったQ&A
セミナー内では参加者からの質問も受け付けていました。その中から特に印象に残ったやりとりを紹介します。
Q. 開業届を出さないとどうなりますか?
A. 社会保険の切り替えができなかったり、青色申告の特別控除が受けられなかったりします。
最悪の場合、延滞税が発生することも。
無料で提出できるので、出したほうが確実にお得です。
Q. 売り上げがまだ少ないのですが、開業届は必要ですか?
A. 売り上げが少ない段階でも、提出するほうが将来的に有利です。
青色申告の適用は提出後の事業年度からとなるため、早めに出しておくほうが節税効果を早く享受できます。
まとめ:まず動くことが、失敗しない最大の秘訣
セミナーを通じて萩原さんが一貫して強調していたのは、「完璧な準備を待つよりも、まず動くことが大切」というメッセージです。
開業届の提出は5分もあればできます。
売り上げが少ない段階でも、将来を見据えて早めに提出するほうが節税面でも確実に有利です。
まず動いて、学びながら整えていく。それが失敗しない個人事業主の第一歩といえるでしょう。
本記事で学んだ重要ポイントを振り返ります。
・個人事業主とは継続・反復して事業を行う個人のこと。開業届を提出するだけでなれる
・給与所得と事業所得は異なり、個人事業主は経費を差し引いた後の金額に課税される
・手取り額は会社員よりも多くなりやすく、経費活用でさらに可処分所得が増える
・青色申告(複式簿記)を活用すると最大65万円の特別控除が受けられる
・まずは開業届の提出から。費用は無料で、デメリットはほぼない
独立や副業に興味がある方は、まず開業届の提出から始めてみましょう。
一歩踏み出すことで、見えてくる世界がきっとあるはずです。

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