介護離職とは?現状・理由・リスクから防止策までをわかりやすく解説

日本では高齢化が進み、家族の介護を理由に仕事を辞める「介護離職」が深刻な社会問題となっています。

特に40〜50代の働き盛り世代が直面し、本人だけでなく企業や社会にも大きな影響を及ぼします。

この記事では、介護離職の現状や原因、起こりうるリスク、そして離職を防ぐための制度や支援策について、わかりやすく解説します。

仕事と介護の両立に悩む方に、具体的なヒントや対策を紹介します。

介護離職とは何か?現状と背景を知る

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介護離職とは、家族などの介護が必要になった際に、仕事との両立が難しくなり、やむを得ず退職することです。

近年は高齢化の進行により、介護を担う世代が40~50代の働き盛りとなるケースが増え、企業や社会にとっても深刻な問題です。

特に団塊の世代が後期高齢者となる2025年には、介護負担の増加とともに介護離職リスクも高まります。

介護離職の定義と概要

介護離職とは、要介護状態の家族を支えるために、従業員が仕事を辞めて介護に専念することです。

本人の意思だけでなく、制度の未整備や家庭の事情、周囲の理解不足など複数の要因が重なることで発生します。

一度離職してしまうと再就職が難しく、生活への影響も大きいため、早期の対策が求められます。

離職者の年間数・年代別傾向

総務省の「令和4年 就業構造基本調査」によると、2022年に介護離職した人は約10万6,000人です。

離職者の約8割が女性で、特に40代後半から50代の世代に集中しています。

この世代は企業の中核を担う管理職層であることも多く、介護離職は本人だけでなく、企業活動にも大きな影響を及ぼします。

働きながら介護する人の割合

介護をしながら仕事を続けている人は全国に約365万人いるとされ、介護者全体の半数以上を占めます。

50~54歳の男性の就業率は88.5%、女性は71.8%と高い水準にあり、多くの人が介護と仕事の両立に努めている実態があります。

しかし、現場では制度の使いづらさや周囲の理解不足により、限界を感じて離職する人も少なくありません。

介護離職に至る理由とその実態

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介護離職は、重度の要介護や家族内の人手不足など、やむを得ない事情で選ばれることが多いです。

総務省の調査では、毎年10万人以上が介護を理由に離職しており、特に50代の働き盛り世代が多くを占めています。

離職後は再就職が難しく、無職が長期化する傾向があります。

離職の主な原因

離職の主な原因は以下の通りです。

・職場の制度:
介護休業や短時間勤務制度が整っていなかったり、制度があっても使いづらい環境により、介護と仕事の両立が難しくなります。

・職場の雰囲気:
制度があっても、「周囲に迷惑をかける」「評価が下がる」といった空気があり、制度を使えず離職を選ぶケースです。

・介護負担:
介護の内容が重くなり、体力的や精神的な負担が限界を超えた結果、仕事の継続が困難になります。

周囲の理解不足

介護者が抱えるストレスには、家族や職場の理解不足も大きく関わっています。

介護への協力が得られず、一人に負担が集中することで、仕事と介護の両立が困難になります。

働き方の選択肢の欠如

時短勤務やテレワークなどの柔軟な働き方が選べない職場では、介護のたびに早退や欠勤を繰り返し、職場での立場が不安定になっていくことも、離職の引き金となります。

介護離職後に「良かった」と感じるケース

介護離職を「よかった」と感じる人もいます。

しかし、親を最期まで看取れた充実感がある一方、多くの場合は、経済的不安や再就職の難しさという現実にも直面しています。

介護離職の問題点と後悔のリスク

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介護のために仕事を辞めると、心身や生活にさまざまな問題が生じます。

特に「思っていたより大変だった」と感じる人が多く、後悔の声も少なくありません。

介護に集中できる反面、仕事を失うことで新たな負担が増えます。

再就職の困難と生活費の不安

離職後に正社員として再就職できる人は半分以下で、4人に1人は無職のままです。

介護によって空白期間が生まれたり、年齢的に求人が限られたりするため、収入が減り生活費に困る人も多くいます。

精神的・経済的・社会的な負担

介護離職をすると、収入が減るだけでなく、毎日の介護で体力や気力も消耗します。

さらに、職場を離れて人とのつながりが減ると、孤独を感じることもあり、心身の負担がより大きくなる傾向があります。

離職を後悔する人の声と実例

「家族のそばにいられて良かった」と話す人もいますが、多くの人が「貯金が減った」「再就職できない」といった不安を抱えています。

理想と現実のギャップに悩まされ、「介護離職しなければよかった」と振り返る人も少なくないのが現実です。

介護離職を防ぐための制度と支援策

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介護離職を防ぐには、「働きながら介護できる環境づくり」が大切です。

介護休業や介護休暇、短時間勤務などの制度を活用すれば、仕事を続けながら介護する選択がしやすくなります。

国の制度

国は「育児・介護休業法」に基づき、介護中の労働者を支える複数の制度を用意しています。

介護休業:家族1人につき、通算93日まで取得可能で、給付金も支給されます。
介護休暇:年5日まで短期的な介護のために取得でき、時間単位の取得もできます。
短時間勤務:勤務時間の短縮、フレックスタイム、時差出勤など柔軟な働き方が選べます。

これらの制度は法律で保障されており、誰でも取得が可能です。

両立支援等助成金などの金銭的支援

厚生労働省は、企業が介護支援に取り組むことで「両立支援等助成金(介護離職防止支援コース)」を支給しています。

介護プラン作成や休業、復職支援などの活動が対象で、企業と従業員双方にとって介護と仕事の両立がしやすくなります。

企業の柔軟な就労支援事例

いくつかの企業では、独自の制度を整えて介護離職を防いでいます。

京都信用金庫:退職後も復職できる「キャリアパートナー制度」を導入。
アドバンテッジ リスク マネジメント:有給の介護休暇、柔軟な勤務時間制度、相談体制の整備などを展開。
ANAホールディングス:介護ハンドブックや研修制度を整え、従業員の心理的支援や職場の理解促進に注力。

このような事例からも、企業の積極的な対応が介護離職を防ぐ大きな力になっていることがわかります。

介護と仕事を両立するためにできること

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介護と仕事の両立には、「仕事を辞めない前提」で計画を立てることが大切です。

早めに情報収集を行い、職場や家族と連携しながら、自分の働き方や介護スタイルを柔軟に見直していきましょう。

制度活用の具体例

「育児・介護休業法」に基づく介護休業(最長93日間)や介護休暇、フレックスタイム、在宅勤務などの制度を活用することで、仕事との両立がしやすくなります。

まずは職場の上司や人事に相談しましょう。

介護サービスや地域資源の活用

訪問介護やデイサービス、ショートステイなどの介護保険サービスを積極的に利用しましょう。

ケアマネジャーや地域包括支援センターと相談しながら、無理のない介護プランを作ることがポイントです。

自分ひとりで抱え込まないための工夫と相談先

介護の悩みは一人で抱えず、家族やケアマネジャー、地域包括支援センター、病院のソーシャルワーカーに相談しましょう。

同じ立場の人と交流できる「介護家族の会」などの参加も有効です。

職場にも状況を共有し、支援を得られるようにしましょう。

まとめ

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介護離職とは、家族の介護のために仕事を辞めることです。

40~50代に多く、生活や再就職に大きな影響があります。

介護と仕事を両立するための、大切なポイントは:

・制度(介護休業・短時間勤務など)を活用する
・介護サービス(デイサービス、訪問介護など)を利用する
・家族や職場、地域に相談する
・一人で抱え込まないこと

仕事を続ける前提で、早めの準備と相談が重要です。

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