退職や転職を考えているとき、「自分は雇用保険の対象になるのか」「いくらもらえるのか」といった不安を感じていませんか?
雇用保険は、仕組みが分かりにくく専門用語も多いため、「何となく難しそう」「手続きを間違えると損しそう」と感じて、よく分からないまま放置してしまう人も少なくありません。
この記事では、雇用保険の基本的な仕組みから、対象となる条件、もらえる金額や期間、手続き方法までを初心者の方にも分かりやすく解説します。
雇用保険について正しく理解し、安心して行動できるようになることを目的としています。
雇用保険とは何か?

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雇用保険は、働く人が失業した際に生活を支え、再就職を支援するための公的な保険制度です。
まずは雇用保険の基本を押さえていきましょう。
制度の目的
雇用保険の主な目的は、労働者が失業した場合に必要な給付を行い、生活の安定を図りながら再就職活動を支援することです。
突然の失業によって収入が途絶えても、一定期間は給付金を受け取れるため、焦らずに次の仕事を探すことができます。
また、雇用保険は単なる失業時の給付だけでなく、育児休業給付金や介護休業給付金、教育訓練給付金など、働く人のキャリア形成や生活を多角的にサポートする機能も持っています。
雇用の安定と労働者の能力開発を促進する、総合的なセーフティネットといえるでしょう。
社会保険との違い
雇用保険と社会保険は、どちらも国が運営する保険制度ですが、役割には明確な違いがあります。
社会保険には「健康保険」「厚生年金」「介護保険」が含まれ、病気やケガ、高齢時の生活保障を目的としています。
加入していれば、医療費の負担が抑えられたり、将来年金を受け取ることができたりと、人生全体を通しての安心を支える仕組みになっています。
雇用保険は失業時の生活支援と再就職支援が主な役割です。
働いている人が仕事を失ったときに、一定期間、生活を支えるための給付金を受け取れる制度です。
さらに、スキルアップのための教育訓練給付や、育児休業中の給付金なども用意されており、再就職やライフステージの変化をサポートする役割を担っています。
給料明細を見ると、社会保険料と雇用保険料が別々に天引きされており、雇用保険料は一般的に給与の0.6%程度(労働者負担分)と少額です。
「失業保険」との違い(正式名称)
「失業保険」という言葉を聞いたことがある人も多いでしょう。
実は、失業保険は正式な名称ではなく、雇用保険制度の中の「基本手当」を指す通称です。
かつて「失業保険法」という法律がありましたが、1975年に「雇用保険法」に改正されました。
雇用保険の対象になる人・ならない人

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雇用保険には加入条件があり、すべての労働者が対象となるわけではありません。
加入条件
雇用保険に加入できる基本的な条件は以下の2つです。
★週20時間以上働いていること 1週間の所定労働時間が20時間以上であることが必要です。
これは契約上の労働時間であり、残業時間は含まれません。
例)週5日×4時間=週20時間のパート勤務であれば条件を満たします。
★31日以上の雇用見込みがあること 31日以上継続して雇用される見込みがある場合に加入対象となります。
契約期間が31日以上であれば、更新の可能性がある場合も含まれます。
★学生の扱い 原則として、昼間部の学生(高校、大学、専門学校など)は雇用保険の適用除外です。
ただし、定時制・夜間部、通信制、休学中の学生、卒業見込証明書を有して就職している学生は例外的に加入できます。
つまり、学業が本分である昼間の学生は原則として対象外ですが、働くことが主体となっている場合は加入可能です。
加入できない条件
以下のケースでは雇用保険に加入できません。
★単発・短期アルバイト、日雇いなど短期間の雇用 イベントスタッフや引っ越しバイトなど、数日から数週間で終わる単発の仕事は対象外です。
31日以上の雇用見込みがないため、加入条件を満たしません。
★季節限定の雇用 スキー場やリゾート施設での季節限定の仕事も、雇用期間が短い場合は対象外となります。
ただし、毎年継続して雇用される場合や、31日以上の雇用見込みがある場合は加入できることもあります。
★昼間部の学生 前述の通り、高校や大学などに通う昼間部の学生は原則として対象外です。
学業が本分とみなされるためです。
★他社で雇用保険に加入している場合 雇用保険は1人1つまでしか加入できません。
複数の会社でパートやアルバイトをしていても、主たる勤務先でのみ加入します。副業先では加入できません。
★船員や公務員、法人の代表者や取締役など 船員は船員保険が適用されるため、雇用保険の対象外です。
また、国家公務員や地方公務員も独自の制度があるため対象外です。
さらに、会社の代表取締役や取締役など、雇用されている立場ではない経営者も加入できません。
パート・派遣・契約社員の場合
パート、派遣社員、契約社員であっても、週20時間以上、31日以上の雇用見込みを満たせば加入できます。
正社員でなくても加入できる点を覚えておきましょう。
派遣社員の場合は、派遣元(派遣会社)で加入します。
雇用保険でもらえる給付金の種類

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雇用保険には、失業時の給付以外にも様々な給付金があります。
★基本手当(失業給付): 失業中の生活を支えるための手当です。
一定の条件を満たした失業者が、求職活動を行いながら受け取れます。
定期的にハローワークで求職活動の報告が必要です。
★再就職手当: 基本手当の受給中に早期に再就職が決まった場合、残りの給付日数に応じて一時金が支給されます。
支給残日数が3分の1以上残っている状態で再就職すると、残日数の60%(3分の2以上残っていれば70%)が一括で支給されます。
★教育訓練給付金: 働く人がスキルアップや資格取得のために勉強することを応援する制度です。
厚生労働省が指定した講座を修了すると、受講料の一部が戻ってきます。
・専門実践教育訓練:受講費用の最大80%支給
・特定一般教育訓練:受講費用の最大50%支給
・一般教育訓練:受講費用の20%支給
高年齢求職者給付金 :65歳以上の高齢者が失業した場合に支給される一時金です。
被保険者期間が1年未満なら基本手当日額の30日分、1年以上なら50日分が支給されます。年金と併給できる点が特徴です。
雇用保険は何日・何ヶ月もらえる?

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雇用保険の基本手当を受け取れる期間は、勤続年数、年齢、退職理由によって大きく異なります。
勤続年数別
基本手当の受給日数は、雇用保険の被保険者期間(勤続年数)によって決まります。
被保険者期間が長いほど、受給日数も多くなる仕組みです。
・10年未満:90日
・10年以上20年未満:120日
・20年以上:150日
ただし、これは自己都合退職の場合の基本的な日数です。
会社都合退職の場合は、さらに優遇されます。
年齢別
会社都合退職や特定理由離職者の場合、年齢によっても受給日数が変わります。
一般的に、再就職が難しいとされる中高年層ほど、受給日数が多く設定されています。
例えば、45歳以上60歳未満で被保険者期間が20年以上の場合、最大330日間受給できます。
一方、30歳未満で同じ被保険者期間なら、最大180日です。
自己都合退職の場合
自己都合退職(転職、結婚、引っ越しなど)の受給日数は以下の通りです。
・被保険者期間10年未満:90日
・被保険者期間10年以上20年未満:120日
・被保険者期間20年以上:150日
自己都合退職の場合は「給付制限期間」があり、ハローワークに申請してから7日間の待機期間に加えて、原則2ヶ月間は給付が受けられません。
会社都合退職の場合
会社都合退職(倒産、解雇、リストラ、雇い止めなど)は「特定受給資格者」として優遇されます。
受給日数は年齢と被保険者期間によって細かく設定され、最大で330日間受給できます。
例えば:
・30歳未満、被保険者期間1年以上5年未満:90日
・30歳以上35歳未満、被保険者期間5年以上10年未満:180日
・45歳以上60歳未満、被保険者期間20年以上:330日
会社都合退職は給付制限期間がなく、7日間の待機期間後すぐに給付が始まる点も大きなメリットです。
雇用保険はいくらもらえる?

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雇用保険でもらえる金額は、退職前の給与をもとに計算されます。
基本的な考え方を理解しておきましょう。
計算方法(賃金日額ベース)
基本手当の日額は、以下の手順で計算されます。
ステップ1:賃金日額を算出
退職前6ヶ月間の給与総額(賞与を除く)を180日で割ります。
例:退職前6ヶ月の給与が合計150万円の場合 150万円÷180日=8,333円(賃金日額)
ステップ2:給付率を適用
賃金日額に給付率(50%〜80%)をかけて基本手当日額を算出します。
一般的には約60%程度です。
ステップ3:受給総額を計算
基本手当日額×受給日数=受給総額 例:基本手当日額5,000円、受給日数90日の場合 5,000円×90日=45万円
上限・下限
基本手当日額には年齢に応じた上限額(29歳以下:6,945円、45〜59歳:8,490円など)と、下限額(全年齢共通2,196円)があります。
具体例シミュレーション
実際にいくらもらえるのか、具体例で見ていきましょう。
ケース1:月給25万円、30歳、勤続5年、自己都合退職
・退職前6ヶ月の給与総額:150万円
・賃金日額:150万円÷180日=8,333円
・基本手当日額:約5,000円(給付率約60%)
・受給日数:90日
・受給総額:5,000円×90日=45万円
ケース2:月給35万円、45歳、勤続15年、会社都合退職
・退職前6ヶ月の給与総額:210万円
・賃金日額:210万円÷180日=11,667円
・基本手当日額:約6,500円(給付率約55%、ただし上限あり)
・受給日数:240日
・受給総額:6,500円×240日=156万円
会社都合退職の場合、受給日数が大幅に増えるため、総額でも大きな差が出ます。
雇用保険の手続き方法(完全フロー)

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では実際に雇用保険の手続き方法を見ていきましょう。
順番に簡潔に説明します。
ステップ1:離職票の受け取り
退職後、会社から「雇用保険被保険者離職票-1」と「離職票-2」が送られてきます(通常、退職後10日前後)。
2週間経っても届かない場合は会社に連絡しましょう。
ステップ2:ハローワークで求職申し込み
離職票が届いたら、住所地を管轄するハローワークで求職申し込みを行います。
持参するものは、離職票、マイナンバーカード、身元確認書類、写真2枚、預金通帳、印鑑です。
ステップ3:雇用保険受給説明会への参加
指定日時に「雇用保険受給説明会」に参加します。
この説明会への参加は必須で、欠席すると給付が受けられません。
ステップ4:失業の認定
指定された失業認定日に「失業認定申告書」を提出します。
原則として4週間に2回以上の求職活動実績が必要です(求人応募、職業相談、企業説明会参加など)。
ステップ5:基本手当の振り込み
失業認定日から通常5営業日程度で、指定口座に振り込まれます。
その後は4週間ごとに失業認定を繰り返します。
雇用保険でよくある注意点

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待機期間
求職申し込みから7日間は全員に適用される「待機期間」です。
自己都合退職の場合は、さらに原則2ヶ月間の「給付制限期間」があります。
アルバイト・副業
週20時間未満のアルバイトは可能ですが、収入は必ず申告が必要です。
週20時間以上働くと「就職」とみなされ、受給資格を失います。
不正受給のリスク
虚偽の申告をして基本手当を受け取ると、不正に受給した金額の全額返還に加え、返還額の2倍の納付(合計3倍)、給付の全額不支給、刑事告発の可能性があります。
必ず正直に申告しましょう。
よくある質問(FAQ)

参照:Adobe Stock
すぐもらえる?: 会社都合退職は約1ヶ月後、自己都合退職は約3ヶ月後です。
退職前に生活費の準備が重要です。
働きながらもらえる? :週20時間未満のアルバイトなら可能ですが、収入額により減額される場合があります。
自己都合でも大丈夫?:条件を満たせば受給できますが、給付制限期間があり、受給日数も少なくなります。
転職が決まっていたら?: 退職前に就職先が決まっている場合、基本手当は受給できません。
まとめ

参照:写真AC
雇用保険は、失業時の生活を支え、安心して次の仕事を探すための重要な制度です。
しかし、「知っている人だけが得をする制度」でもあります。
退職理由によって受給日数や給付開始時期が大きく変わるため、自分のケースを正しく把握することが大切です。
分からないことがあれば、迷わずハローワークに相談しましょう。
そして最も重要なのは「行動すること」です。実際に手続きをしなければ1円ももらえません。
退職したら、できるだけ早くハローワークに行き、手続きを始めましょう。
雇用保険を上手に活用して、安心して次のステップに進んでください。

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