確定申告における医療費控除のやり方|スマホ完結手順書

確定申告 医療費控除 未分類

「医療費をたくさん払ったけど、自分は申告対象なのか?」

「確定申告って難しそう…」と感じているあなたへ。

この記事では、確定申告を一度もしたことがない会社員を対象に、スマホと国税庁の「確定申告書等作成コーナー」だけで申告が完結できるよう、手順を丁寧に解説します。

まず申告対象かどうかの判定から始めましょう。

  1. 会社員でも医療費控除の確定申告は自分でできる
  2. ① あなたは医療費控除の申告対象?今すぐ判定チェック
    1. 医療費控除が受けられる3つの条件
    2. 10万円の壁とは?いくらから申告する意味がある?
    3. 対象になる医療費・ならない医療費一覧
  3. ② 医療費控除でいくら戻る?還付金早見表(年収×医療費)
    1. 年収・医療費別 還付金早見表
    2. 医療費控除の還付金はどうやって計算する?
      1. 【STEP 1】医療費控除額を計算する
      2. 【STEP 2】自分の所得税率を確認する
      3. 【STEP 3】還付金を計算する
    3. ふるさと納税と併用する場合の注意点
  4. ③ 医療費控除の確定申告に必要な書類チェックリスト
    1. 医療費控除の確定申告に必要な書類一覧|準備漏れゼロチェックリスト
    2. マイナンバーカードは必要?
    3. 領収書を捨ててしまった場合の対処法
  5. ④ 医療費控除の確定申告のやり方|スマホ×国税庁コーナー手順
    1. Step1|むずかしくない!申告前にやること全体像を把握する
    2. Step2|国税庁サイトへのアクセスとコーナーの開き方
    3. Step3|医療費明細書の書き方と入力手順
    4. Step4|還付口座を登録する
    5. Step5|内容確認・送信して提出完了
  6. ⑤ 医療費控除の確定申告でよくあるミスと対処法
    1. 入力ミス・送信後に間違いに気づいたら
    2. 期限(3月15日)を過ぎてしまったら
    3. 高額療養費と医療費控除は併用できる?
      1. 12月に高額な医療費がかかった方へ
    4. 申告後、いつ還付される?
      1. 還付状況の確認方法
    5. 5年前の医療費もさかのぼって申告できる?
    6. セルフメディケーション税制との違いは?
  7. まとめ|医療費控除の確定申告はスマホ一つで完結できる

会社員でも医療費控除の確定申告は自分でできる

参照:photoAC

「確定申告は個人事業主やフリーランスのもの」と思っていませんか?

実は、医療費控除は会社の「年末調整」では対応できないため、会社員であっても自分で申告する必要があります。

マイナンバーカードがあれば、マイナポータル連携で医療費データを自動取得でき、

スマホ1台・自宅から30〜60分で申告が完結します。

① あなたは医療費控除の申告対象?今すぐ判定チェック

参照:photoAC

手間をかける前に、まず申告対象かどうかを確認しましょう

以下3つの条件がすべて当てはまれば、申告できます。

医療費控除が受けられる3つの条件

国税庁の定めにより、以下の3条件をすべて満たす場合、医療費控除の申告対象となります。

条件内容
① 支払い実績がある令和7年(2025年)1月1日〜12月31日に
医療費を支払った
② 対象者の範囲内自分自身または「生計を一にする」
配偶者・家族・親族のために支払った
③ 一定額を超えている医療費合計が10万円超
(総所得200万円未満の場合は総所得の5%超)

出典:国税庁「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」

「生計を一にする」とは、日常の生活の資を共にすることを指します(国税庁の定義)。

必ずしも同居は不要で、単身赴任中の配偶者や仕送りをしている子ども、大学進学で一人暮らしをしている子どもも対象に含まれます。

家族全員の医療費を合算できるため、10万円を超えやすくなります。

10万円の壁とは?いくらから申告する意味がある?

医療費控除は、1年間に支払った医療費が「一定の金額」を超えた部分だけが対象になります。

その基準額が「10万円」です。

ただし、年収が低い方は10万円より少なくても申告できます

あなたの総所得金額足切り額(差し引かれる金額)
200万円以上医療費が10万円を超えた分
200万円未満医療費が総所得の5%を超えた分

出典:国税庁「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」

計算例】総所得180万円の方が医療費12万円を支払った場合
 ・基準額:180万円 × 5% = 9万円
 ・控除の対象:12万円 - 9万円 = 3万円

つまり、この方は医療費が10万円未満でも申告できます。

対象になる医療費・ならない医療費一覧

医療費控除の大原則は「治療を目的とした費用であること」です。

予防・美容・健康増進が目的の費用は原則対象外です。

対象になる費用 対象にならない費用 
病院・クリニックの診察料・治療費健康診断・人間ドック費用(※1)
処方された薬代(薬局での購入含む)予防接種費用(インフルエンザ等)
入院費(食事代を含む)ビタミン剤・栄養ドリンク(予防目的)
通院のための公共交通機関の交通費(※2)美容整形・審美歯科費用
出産費用(正常分娩含む)マスク・消毒液購入費(治療目的外)
歯の治療費(インプラント含む)自家用車のガソリン代・駐車場代
治療目的のはり・きゅう・マッサージ健康増進目的のリラクゼーション施術
子どもの歯列矯正費用(成長・発育改善)大人の美容目的の歯列矯正費用
不妊治療(体外受精・人工授精など)コンタクトレンズ購入費(治療用除く)
補聴器・義足・義歯(入れ歯)購入費差額ベッド代(治療上必要でない場合)
市販の風邪薬・胃腸薬(治療目的)先発医薬品の「特別の料金」
(後発品との差額)(※3)

出典:国税庁「No.1122 医療費控除の対象となる医療費」/国税庁「No.1128 歯の治療費の具体例」

※1 健康診断・人間ドックは原則対象外。ただし、検査の結果、重大な疾病が発見されて引き続き治療を受けた場合は、その年の検査費用も対象になります。(国税庁「No.1122」)

※2 公共交通機関が利用できる場合のタクシー代は対象外。やむを得ない事情(深夜・緊急等)がある場合は対象になることがあります。(国税庁「No.1122」)

※3 令和6年10月1日以降、後発医薬品(ジェネリック)がある先発品を選択した場合の特別料金は対象外となりました。

② 医療費控除でいくら戻る?還付金早見表(年収×医療費)

参照:photoAC

申告するかどうか迷っている方は、先に「いくら戻るか」を把握しましょう。

手間に見合うかの判断材料になります。

年収・医療費別 還付金早見表

自分の年収と、1年間に支払った医療費の合計を照らし合わせると、おおよその還付金額が分かります。

【例】年収400〜600万円で医療費を20万円払った方 → 約20,000円が戻る

年収目安医療費15万円医療費20万円医療費30万円適用税率
〜300万円
(総所得200万未満)
約2,500円〜約5,000円〜約10,000円〜5%
300〜400万円約5,000円約10,000円約20,000円10%
400〜600万円約10,000円約20,000円約40,000円20%
600〜800万円約11,500円約23,000円約46,000円23%
800万円〜1,000万円約16,500円約33,000円約66,000円33%

※2025年(令和7年)分の税制改正をもとにした概算値です。

実際の還付金額はご自身の控除状況により異なります。

正確な金額は国税庁「確定申告書等作成コーナー」でご確認ください。

医療費控除の還付金はどうやって計算する?

医療費控除の還付金は3ステップで計算できます。

【STEP 1】医療費控除額を計算する

医療費控除額 =(支払った医療費の合計額 - 保険金などで受け取った金額)- 10万円

※「保険金などで受け取った金額」とは、入院給付金・高額療養費など、医療費として戻ってきたお金のことです。

※総所得200万円未満の方は、10万円の代わりに「総所得金額×5%」を引きます。

※控除の上限額は200万円です。

【STEP 2】自分の所得税率を確認する

先ほどの早見表で、自分の年収に対応する税率を確認してください。

年収目安税率
〜300万円5%
300〜400万円10%
400〜600万円20%
600〜800万円23%
800〜1,000万円33%

※復興特別所得税(所得税額の2.1%)が2037年まで別途加算されます。

出典:国税庁「No.2260 所得税の税率」

【STEP 3】還付金を計算する

所得税の還付金 = 医療費控除額 × 所得税率

【計算例】年収500万円・医療費20万円の場合
 ・STEP1:20万円 - 0円 - 10万円 = 控除額10万円
 ・STEP2:年収500万円 → 税率20%
 ・STEP3:10万円 × 20% = 所得税の還付金2万円

さらに住民税も翌年度に軽減されます(10万円 × 10% = 1万円)。

合計で約3万円の還付・軽減効果があります。

ふるさと納税と併用する場合の注意点

ふるさと納税(ワンストップ特例)を利用している方で、医療費控除の申告もする場合、

以下の点に注意が必要です

●   ワンストップ特例を使っていても、確定申告をすると自動的にワンストップ特例が無効になります

●    確定申告書でふるさと納税の「寄附金控除」も一緒に申告し直す必要があります

●    ふるさと納税の寄附金受領証明書を手元に用意してから申告を始めましょう

③ 医療費控除の確定申告に必要な書類チェックリスト

参照:photoAC

申告当日に「書類が足りない」とならないよう、事前に揃えておきましょう。

医療費控除の確定申告に必要な書類一覧|準備漏れゼロチェックリスト

書類名入手先・補足
□ マイナンバーカードスマホでe-Tax申告する場合は必須。
暗証番号(4桁・6〜16桁)を事前確認
□ 源泉徴収票12〜1月に勤務先から発行。年収・所得の
記載に使用(提出不要・手元保管)
□ 医療費の領収書申告書への添付・提出は不要。
申告期限の翌日から5年間自宅保管が必要
□ 医療費控除の明細書国税庁コーナーで入力すれば自動作成。
または紙でダウンロードして手書きも可
□ 還付先の銀行口座情報銀行名・支店名・口座番号・
名義人(カタカナ)を事前確認
□ ふるさと納税の受領証明書ワンストップ特例使用中の方も必須。
寄附金控除として申告し直す必要あり
□ 健康保険組合の医療費通知(任意)「医療費のお知らせ」があれば、
明細書の記載を一部省略できる

マイナンバーカードは必要?

結論:マイナンバーカードは必須です。

2025年10月以降、これからe-Taxを新たに使い始める方は「マイナンバーカード方式」のみ
利用可能になりました。

以前使えたID・パスワード方式は新規発行が停止されています(既存の方は引き続き利用可)。

 出典:国税庁「ID・パスワード方式の新規発行停止について」(令和7年9月25日)

マイナンバーカードがあると、以下のメリットがあります。

・マイナポータル連携で医療費データを自動取得できる
・源泉徴収票も自動連携できる
・本人確認書類の準備が不要
・スマホのみで申告が完結する

⚠ マイナンバーカードの発行には通常1〜2か月かかります。まだお持ちでない方は早めに申請しましょう。

領収書を捨ててしまった場合の対処法

領収書を紛失してしまっても、以下の3つの方法で対応できます。

【方法①】マイナポータルの医療費通知情報を活用する 
マイナポータルと連携すれば、保険診療分の医療費データが自動取得できます。
領収書がなくても多くの医療費を申告できます。
ただし、自費診療・通院交通費・ドラッグストアでの市販薬購入は反映されないため、
その分は別途領収書で手入力が必要です。
また、1年分のデータは原則として翌年2月9日に取得可能になります。

【方法②】健康保険組合の「医療費のお知らせ」を活用する
健保から送付される「医療費のお知らせ」を確定申告書に添付することで、明細書の記載
を簡略化できます。
ただし、記載されているのは8月分までの情報が多く、年末分が含まれない場合があります。不足分は手入力で補う必要があります。

【方法③】医療機関に支払証明書を依頼する
領収書の再発行に法的義務はなく、断られることもあります。
その場合は「支払証明書」や「診療明細書」の発行を依頼してください(有料の場合あり)。

                出典:国税庁「No.1119 医療費控除に関する手続について」

マイナポータル「医療費通知情報FAQ」(2025年2月更新)

④ 医療費控除の確定申告のやり方|スマホ×国税庁コーナー手順

参照:photoAC

実際にスマホで申告する手順を解説します。

国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を使う方法で、ツール不要・無料で完結します。

Step1|むずかしくない!申告前にやること全体像を把握する

申告の全体の流れは5ステップです。慌てずに一つひとつ進めましょう。

ステップ内容目安時間
Step 1全体像の把握
(この記事を読む)
5分
Step 2国税庁コーナーへの
アクセス・開き方
5分
Step 3医療費明細書の入力10〜30分(件数による)
Step 4還付口座(振込先)の登録3分
Step 5内容確認・送信して提出完了5分

事前に準備するもの

① マイナポータルアプリ(App Store・Google Playから無料ダウンロード)
② マイナンバーカード
 ・利用者証明用暗証番号:数字4桁(※対応機種はFace ID・指紋認証も可)
 ・署名用電子証明書パスワード:英数字6〜16文字
③ 源泉徴収票
④ 医療費の領収書(またはマイナポータル連携済み)
⑤ 還付先の銀行口座情報

⚠ 申告当日に暗証番号が分からないと手続きが止まります。
マイナンバーカードの暗証番号を事前に確認しておきましょう。
忘れた場合は市区町村の窓口で再設定が必要です。

 出典::国税庁「令和7年分 確定申告特集」

Step2|国税庁サイトへのアクセスとコーナーの開き方

1. スマホのブラウザで「確定申告書等作成コーナー」と検索
2. 国税庁の公式サイトにアクセス
3.「作成開始」→「所得税」を選択
4. 提出方法の選択で「スマートフォンを使用してe-Taxで提出する」を選択
5.「マイナポータル連携する」を選択しログイン

⚠令和7年分からiPhoneでもChromeが使えるようになりました。
ただし、ブラウザのポップアップブロックはオフにしておくとスムーズです。

💡 マイナンバーカードの読み取りについて

Android: すでにスマホにマイナンバーカードを搭載する機能が利用可能です。
      カードをかざす手間が省けます。

iPhone: 令和8年1月から「iPhoneのマイナンバーカード」に対応予定です。
      それまでは従来通りカードをスマホにかざして読み取ります。

出典::国税庁「令和7年分 確定申告特集」

デジタル庁「スマートフォンのマイナンバーカード」

Step3|医療費明細書の書き方と入力手順

入力方法は以下の3つから選べます。

入力方法内容おすすめ度
①マイナポータル連携保険診療分の医療費を
自動取得。
手入力の手間が大幅に減る
★★★
②医療費通知(書面)を利用健保の「医療費のお知らせ」をもとに入力。
合計額だけ記入できる
★★☆
③領収書から手入力1件ずつ入力。
自費診療・交通費なども
漏れなく反映できる
★☆☆

⚠ マイナポータル連携で取得できない費用があります。

 はり・きゅうの施術費用、整骨院・接骨院の療養費、自費診療、通院交通費、ドラッグストアでの市販薬購入は別途手入力が必要です。

家族分の医療費も申告したい方へ 
マイナポータル上で家族を「代理人」に設定する必要があります。
設定には家族のマイナンバーカードも必要です。

【手入力時の入力項目(1件ごとに入力)】

・医療を受けた方の氏名(本人・家族ごとに入力)
・病院・薬局など支払先の名称
・医療費の区分(診療・治療/薬代/介護保険サービス等)
・支払った医療費の額
・保険金などで受け取った金額(入院給付金・高額療養費を受け取った場合)

入力の時短ワザ
同じ病院に複数回通院した場合、病院名・受診者ごとにまとめて合計金額を1行で入力できます。領収書を病院別に束ねておくと集計が速くなります。

出典:国税庁「確定申告書等作成コーナー 医療費控除の入力について

デジタル庁「令和7年分確定申告 マイナポータル連携のはじめかた」

Step4|還付口座を登録する

申告後に税金が還付されます。振込先の銀行口座を登録します。

・金融機関名(銀行名)
・支店名(支店番号)
・口座の種類(普通・当座)
・口座番号(7桁)※7桁に満たない場合は先頭に「0」を補って入力
・口座名義人(カタカナ)

⚠ ゆうちょ銀行に振り込む場合は、通常とは異なる「振込専用の店名・番号」が必要です。
ゆうちょ銀行の通帳表紙裏に記載されている「振込用の店名・口座番号」を確認してください。

Step5|内容確認・送信して提出完了

1. 入力内容の最終確認画面で、還付金額・税額を確認する
2.「送信する」をタップ
3. マイナンバーカードで本人確認をする
  Android: スマホに搭載したマイナンバーカードで認証(カード不要)
  iPhone: Face IDなどの生体認証で完結(カード不要)
       ※iPhoneのマイナンバーカード設定済みの場合
4.「送信完了」の画面が表示されたら申告完了
5. 受信通知(受付番号)をスクリーンショットまたはメモして保存

e-Taxで送信完了すれば、書類の郵送は一切不要です。
領収書等は申告期限の翌日から5年間、自宅で保管してください。

⑤ 医療費控除の確定申告でよくあるミスと対処法

参照:photoAC

入力ミス・送信後に間違いに気づいたら

送信完了後に入力ミスに気づいた場合は、「更正の請求」または「修正申告」という手続きで訂正できます。

状況手続き期限
還付金が少なかった
(申告漏れ)
更正の請求申告期限から5年以内
多く申告してしまった
(過大申告)
修正申告気づいたらすぐに

⚠ 修正申告は、税務署の調査を受けた後に行うと過少申告加算税(10%)が別途かかる場合があります。気づいた時点で早めに手続きしましょう。

更正の請求・修正申告ともに、確定申告書等作成コーナーの「更正の請求書・修正申告書作成コーナー」からe-Taxで提出できます。

出典:国税庁「No.2026 確定申告を間違えたとき」(令和7年4月1日現在)

期限(3月15日)を過ぎてしまったら

2025年分(令和7年分)の確定申告の期限は2026年3月16日(月)です(3月15日が日曜日のため翌平日)。

申告の種類対象者申告期限
通常の確定申告
(納税がある方)
個人事業主等
納税が必要な方
2026年3月16日(月)まで
還付申告
(税金が戻ってくる方)
医療費控除のみを申告する
会社員など
2031年12月31日まで
(5年以内)

会社員で医療費控除のみを目的に申告する場合は「還付申告」となり、5年以内であればいつでも申告できます。「申告し忘れた」という方もまだ間に合います。

※還付申告は確定申告期間(2月16日〜)の開始を待たずに、2月13日から提出できます。早めに申告すると還付も早くなります。

出典:国税庁「No.2030 還付申告」

高額療養費と医療費控除は併用できる?

結論:高額療養費制度と医療費控除は「併用できます」。ただし両者は全く別の制度で、仕組みが異なります。

比較項目高額療養費制度医療費控除
制度の種類公的医療保険(健康保険)
の給付
所得税の控除(税制)
申請先加入している健康保険組合税務署(確定申告)
対象の医療費保険適用分のみ保険適用外も含む
計算期間1ヶ月単位(月初〜月末)1年間(1月1日〜12月31日)
差額ベッド代・食事代対象外治療上必要なものは対象
申請タイミング受診月の翌月以降(随時)翌年2〜3月の確定申告

⚠高額療養費として受け取った金額は必ず差し引いてください。

医療費控除の計算式で「保険金などで受け取った金額」として差し引く必要があります。

引き忘れると過大申告になります。

12月に高額な医療費がかかった方へ

12月分の高額療養費は支給まで3か月ほどかかり、確定申告期限に間に合わない場合があります。

その場合は見込み額で申告し、支給額確定後に「更正の請求」で訂正してください。

※2026年8月から高額療養費制度が改定されます 

年収370〜510万円の世帯は外来自己負担に年間上限が設けられます。

該当する方は改定後の支給通知で金額を確認してから医療費控除を計算してください。

出典:国税庁「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」

申告後、いつ還付される?

e-Taxによる申告の場合、申告から概ね2〜3週間程度で指定口座に還付金が振り込まれます。

申告方法還付までの目安
e-Tax(スマホ・PC)3週間程度
郵送・税務署窓口持参1〜2か月程度

2月〜3月の繁忙期は処理に時間がかかる場合があります。

還付を早く受け取りたい方は、2月上旬までに申告するのがおすすめです。

還付状況の確認方法

 申告から2週間程度経過後、e-Taxにログイン→「還付金処理状況確認」から確認できます。

5年前の医療費もさかのぼって申告できる?

結論:さかのぼって申告できます。
還付申告は申告できる年の翌年1月1日から5年以内であれば申告が可能です。

医療費の発生年申告できる期限
2025年(令和7年)分2030年12月31日まで
2024年(令和6年)分2029年12月31日まで
2023年(令和5年)分2028年12月31日まで
2022年(令和4年)分2027年12月31日まで
2021年(令和3年)分2026年12月31日まで

出典:国税庁「No.2030 還付申告」

遡って申告する場合は、各年ごとに別の申告書を作成・提出する必要があります。

申告する年分の確定申告書等作成コーナーを使って作成してください。

セルフメディケーション税制との違いは?

セルフメディケーション税制は、通常の医療費控除の「特例」です。

どちらか一方しか選択できません(同時適用は不可)。

比較項目通常の医療費控除セルフメディケーション税制
対象費用医師の診察・治療費全般指定の市販薬(OTC医薬品等)のみ
足切り額10万円(所得200万円未満は所得の5%)1万2,000円
控除の上限200万円8万8,000円
必要な証明医療費の明細書のみ領収書+健康への取組証明書(健診等)
適用要件なしその年に健診・予防接種等を受けていること
適用期間毎年(期限なし)令和8年(2026年)
12月31日まで※

※延長の可能性あり。申告前に国税庁サイトでご確認ください。

どちらを選ぶべきか

 医療費が10万円を超えている場合は通常の医療費控除が有利なケースがほとんどです。

医療費が少なく市販薬を多く購入している方はセルフメディケーション税制が有利になる場合があります。

出典:国税庁「No.1131 セルフメディケーション税制と通常の医療費控除との選択適用」

⚠ 一度どちらかを選択すると、その年はもう一方に変更できません。
申告前にどちらが有利か確認しましょう。

まとめ|医療費控除の確定申告はスマホ一つで完結できる

参照:photoAC

手順やることポイント
① 対象確認医療費が10万円
(または所得の5%)
を超えているか確認
家族全員の医療費を
合算できる
② 還付金を試算年収・医療費から
還付金の目安を把握
住民税の軽減効果も
忘れずに
③ 書類を揃えるマイナンバーカード・
源泉徴収票・領収書・
口座情報
5年間の自宅保管義務あり
④ コーナーで入力国税庁
「確定申告書等作成コーナー」でスマホ入力
マイナポータル連携で
入力が楽になる
⑤ 送信完了e-Taxで送信→3週間程度書類郵送は不要

確定申告と聞くと難しいイメージがありますが、医療費控除の申告は手順通りに進めれば初心者でも完結できます。

マイナンバーカードとスマホがあれば、自宅で30分〜1時間あれば十分です。

「去年申告し忘れた」という方も、5年以内であれば遡って申告できます。今からでも遅くありません。

今すぐ行動のチェックリスト

□ マイナンバーカードの暗証番号を確認する
□ 領収書をまとめてファイリングする
□ 源泉徴収票を探す
□ 国税庁コーナーにアクセスする

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