産後の仕事復帰について、「いつ頃が適切なの?」「準備は何をすればいい?」と悩んでいませんか。
実は、産後の仕事復帰のタイミングは人それぞれです。
というのも、体調の回復ペース、保育園の入園時期、家庭の経済状況など、判断材料が複数あるからです。
厚生労働省の調査では、出産後に仕事復帰する女性の平均は1年〜1年半という結果が出ています。
しかし、6ヶ月以内に復帰する人もいれば、2年近く育休を取得する人もいるのが実情です。
この記事では、産後の仕事復帰に関する法律の基礎知識から、時期別のメリット・デメリット、具体的な準備リスト、よくあるトラブルの対処法まで、実践的な情報をお届けします。
本記事を読めば、自分に合った復帰時期が判断でき、スムーズに職場復帰できるはずです。
産後の仕事復帰、法律と実態を知ろう

参照:pixabayより
産後の仕事復帰を考える前に、まず法律で定められた基本ルールを押さえておきましょう。
知っているのと知らないのとでは、計画の立て方が大きく変わります。
法律で定められた復帰可能時期
労働基準法では、産後8週間は女性を就業させてはいけないと定められています。
つまり、最短でも産後8週間は休む必要があるわけです。
ただし例外もあります。
産後6週間が経過し、本人が希望して医師が問題ないと判断すれば、6週間後から復帰できます。
実際、フリーランスや経営者の中には、産後2週間〜1ヶ月で仕事を再開する人もいるのです。
一方、育児休業制度を利用すれば、原則として子どもが1歳になるまで休めます。
保育園に入れない場合などは、最長2歳まで延長も可能です。
実際の復帰時期は「1年〜1年半」が多数
法律上は産後6週間から復帰できますが、実際にはどうでしょうか。
令和3年度の雇用均等基本調査によると、育休取得者の復帰時期は「10ヶ月〜12ヶ月未満」が最も多く、次いで「12ヶ月〜18ヶ月未満」という結果でした。
つまり、子どもが1歳前後で復帰する人が中心なのです。
理由は明確です。
多くの保育園が4月入園を基本としているため、誕生月によっては1歳の誕生日まで待つ必要があります。
また、卒乳や子どもの生活リズムが整う時期も、この頃が目安になるからです。
ちなみに、民間調査によると、6ヶ月〜1年未満で復帰する人が約36%、1ヶ月未満での早期復帰は5.5%程度というデータもあります。
個人事業主とフリーランスの場合
会社員とは異なり、個人事業主やフリーランスには法律上の産休・育休制度がありません。
雇用契約がないためです。
つまり、極端に言えば産後すぐにでも働けます。
実際、仕事の性質上「案件を他の人に取られたくない」という理由で、産後2週間で復帰した経営者の例もあります。
ただし、体調管理は自己責任です。
無理をすると産後の回復が遅れたり、産後うつのリスクが高まったりします。
フリーランスこそ、計画的に休息期間を設けることが重要なのです。
復帰時期別のメリット・デメリット

参照:pixabayより
産後の仕事復帰には、大きく分けて「早期復帰」「標準的復帰」「ゆっくり復帰」の3パターンがあります。
それぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。
6ヶ月以内での早期復帰
産後6ヶ月以内に復帰する場合、最大のメリットは仕事のブランクが短いことです。
職場の変化に早く対応でき、キャリアの中断が最小限で済みます。
経済的にも、早期に復帰することで通常給与に戻るため、収入の回復が早いのです。
一方でデメリットもあります。
産後の体調が完全に回復していない状態で復帰すると、無理がたたって体調を崩すリスクがあります。
また、0歳児を預けられる保育園は限られており、保育料も高額になりがちです。
さらに、夜泣きが続く時期と仕事が重なるため、睡眠不足との戦いになります。
ある調査では、早期復帰者の半数以上が「もっと休みたかった」と回答しています。
1年前後での復帰(最多パターン)
多くの人が選ぶ1年前後の復帰は、バランスが取れた選択肢と言えます。
メリットは、子どもの生活リズムが整い始める時期であることです。
卒乳も進み、夜もまとまって寝てくれるようになります。
保育園の4月入園にも合わせやすく、1歳児クラスは0歳児より空きが多い傾向があります。
デメリットとしては、1年のブランクで職場の状況が変わっている可能性があることです。
新しいシステムの導入や人事異動などがあれば、キャッチアップが必要になります。
また、育休が1年で終わるため、育児給付金の受給も終了します。
経済的な準備が整っているか、復帰前に確認しておきましょう。
1年半以降のゆっくり復帰
1年半以降の復帰は、子どもとの時間を優先したい人に適しています。
メリットは、体調が完全に回復し、育児にも慣れた状態で復帰できることです。
子どもの免疫力も高まり、頻繁な体調不良が減る時期でもあります。
精神的にも余裕を持って復帰に臨めるのです。
デメリットは、職場復帰への不安が大きくなることです。
「仕事についていけるか」「浦島太郎状態にならないか」という心配が出てきます。
また、キャリアの中断期間が長くなるため、昇進や昇給に影響が出る不安が現れます。
経済面では、育休の延長ができても最長2歳までです。
それ以降は無給になるため、家計とのバランスを考える必要があります。
産後の仕事復帰に必要な準備リスト

参照:pixabayより
仕事復帰をスムーズに進めるには、事前準備が欠かせません。
ここでは、復帰までにやっておくべきことを具体的に紹介します。
保育園探しは秋から動き出す
保育園探しは、復帰準備の中で最も重要な項目です。
というのも、保育園に入れなければ復帰できないからです。
多くの自治体では、毎年10月〜11月頃に次年度の入園申込みが始まります。
4月入園を希望する場合、前年の秋には動き出す必要があるわけです。
具体的な準備としては、まず自宅や職場から通いやすい保育園をリストアップします。
見学予約を早めに取り、実際に園の雰囲気や保育方針を確認しましょう。
申込書類の準備も忘れてはいけません。
中でも重要な就労証明書は会社に発行してもらう必要があります。
認可保育園に入れない可能性も考え、認可外保育園や一時保育の情報も集めておくと安心です。
自治体のファミリーサポート制度も、いざという時に役立ちます。
職場への連絡とすり合わせ
職場との連絡は、復帰の3ヶ月前から始めるのが理想的です。
まず、直属の上司に復帰希望日を伝えます。
この時、時短勤務を希望するかどうかも併せて相談しましょう。
時短勤務は子どもが3歳になるまで利用できる制度です。
復帰前に職場を訪問できるなら、ぜひ顔を出してください。
育休中に人事異動や業務内容の変更があるかもしれません。
事前に把握しておけば、復帰後の戸惑いが減ります。
また、子どもの急病などで突発的に休む可能性があることも、あらかじめ伝えておきます。
正直にコミュニケーションを取っておくことで、復帰後の理解が得られやすくなるのです。
家族との役割分担を明確化
仕事復帰後、最も揉めやすいのが家事・育児の分担です。
復帰前にしっかり話し合っておきましょう。
具体的には、「朝の保育園送りはパパ、お迎えはママ」「ゴミ出しと風呂掃除はパパ」といった具合に、誰が何をするか明確に決めます。
曖昧な分担は後でトラブルの元になります。
総務省の調査では、6歳未満の子がいる共働き家庭で、妻の家事・育児時間は1日6時間32分、夫は1時間57分と大きな差があります。
この現実を踏まえ、パートナーと率直に話し合うことが大切です。
緊急時の対応ルールも決めておきましょう。
「子どもが熱を出したら、その日の予定が少ない方が休む」など、具体的な基準があると判断しやすくなります。
緊急時のバックアップ体制
子どもは予想以上に体調を崩します。
保育園に通い始めると、特に最初の1年は頻繁に熱を出すものです。
そのため、自分とパートナーだけで対応するのは限界があります。
祖父母に協力を依頼できるか、事前に確認しておきましょう。
祖父母が遠方にいる場合や頼れない場合は、病児保育の登録をしておきます。
自治体の病児保育施設や、訪問型の病児シッター(キッズラインなど)の情報を集めておくと安心です。
また、ご近所のママ友ネットワークも意外と役立ちます。
同じ保育園のママ同士で、緊急時に助け合える関係を作っておくのもひとつの方法です。
仕事復帰で直面しやすいトラブルと対処法

参照:写真ACより
どんなに準備しても、復帰後はハプニングの連続です。
よくあるトラブルと、その対処法を知っておきましょう。
子どもの体調不良による突発休み
保育園に通い始めると、子どもは頻繁に熱を出します。
集団生活で感染症をもらってくるのは避けられません。
実際、復帰1年目は月に2〜3回休むことも少なくありません。
業界では一般的に、保育園に慣れるまでの半年間が最も大変だと言われています。
対処法としては、まず職場に状況を正直に伝えることです。
「申し訳ありません」と謝るだけでなく、「復帰後の半年間は子供の体調不良での欠勤が増える可能性があります」と事前に説明しておきましょう。
次に、在宅勤務が可能な業務は積極的に在宅で対応しましょう。
子どもが微熱程度なら、家で様子を見ながら仕事ができる体制を作っておくと助かります。
また、パートナーと交代で休む仕組みも重要です。
「今月はママが3回休んだから、次はパパの番」といった柔軟なルールがあると、負担が偏りません。
産後うつと職場復帰の両立
産後うつは出産後1年以内に起こりやすく、職場復帰後に発症するケースもあります。
10人に1人が経験すると言われており、決して珍しくありません。
症状としては、
・気分の落ち込み
・不眠
・食欲不振
・子どもへの愛情を感じられない
などがあります。
「このまま仕事ができるのか」と焦りを感じると、症状が悪化することもあるのです。
対処法は、まず自分の状態を認識することです。
「頑張らなきゃ」と無理をせず、産婦人科や心療内科に相談しましょう。
医療機関によると、産後うつの回復期間は6ヶ月〜1年程度とされていますが、2年以上かかる場合もあります。
職場には、症状が重い場合は休職を相談することも選択肢です。
無理に働き続けると、回復が遅れる可能性があります。
産後ケアホテルや自治体の産後ケア施設を利用して、心身を休める時間を作ることも有効です。
キャリアへの焦りとの向き合い方
育休明けに感じるのが「キャリアが遅れている」という焦りです。
同期が昇進していたり、新しいプロジェクトが進んでいたりすると、取り残された気分になります。
しかし、ここで大切なのは長期的な視点です。
子育て期間は人生全体から見れば、ほんの数年に過ぎません。
専門家によると、30年のキャリアの中で3年の中断は、思っているほど影響がないケースが多いのです。
対処法としては、まず「今は育児優先の時期」と割り切ることです。
完璧を目指さず、7割できればOKくらいの心構えで臨みます。
また、スキルアップは細く長く続けましょう。
オンライン講座や読書など、隙間時間でできる学習を習慣にしておけば、復帰後のキャッチアップがスムーズになります。
職場で時短勤務を利用している間は、責任の重い仕事を任されにくいかもしれません。
でも、それは一時的なものです。
子どもが成長すれば、またキャリアアップのチャンスは巡ってきます。
無理なく両立するための3つの心構え

参照:pixabayより
仕事と育児の両立は、想像以上に大変です。
でも、心構え次第で、ずいぶん楽になります。
完璧主義を手放す
仕事復帰後、多くの人が陥るのが「すべてを完璧にやろうとする」罠です。
仕事も育児も家事も、全部100点を目指すと確実に疲弊します。
実は、業界の専門家は「7割主義」を推奨しています。
仕事は7割の力で、家事も7割、育児も7割。
それぞれ完璧でなくても、全体としてバランスが取れていれば大丈夫なのです。
例えば、夕食は惣菜を活用する日があってもいいし、掃除は週末にまとめてもいいのです。
「手抜き」ではなく「効率化」だと考えましょう。
子どもが急に熱を出して予定が狂うことは日常茶飯事です。
「予定通りにいかなくて当たり前」という柔軟な心構えがあると、ストレスが減ります。
復帰した先輩ママたちの多くが「最初から飛ばしすぎて疲れた」と振り返っています。
最初の3ヶ月は特に、自分に優しくすることを心がけましょう。
段階的に復帰する
いきなりフルタイムで復帰するのではなく、段階的に慣らしていく方法があります。
ある調査では、約7割以上の人が「徐々に復帰できるのが理想」と答えています。
実際、週2〜3日から始めて、徐々に日数を増やすパターンが理想的だと言われているのです。
可能であれば、段階的復帰を会社に相談してみましょう。
最初の1ヶ月は週3日勤務、2ヶ月目から週4日、3ヶ月目からフルタイムといった段階的な復帰が認められるケースもあります。
時短勤務制度を活用するのも有効です。
子どもが3歳になるまで、1日6時間勤務などの短時間勤務が可能です。
収入は減りますが、心身の負担は大幅に軽減されます。
保育園に慣れる期間は特に、時短勤務がおすすめです。
フリーランスの場合は、最初は小さな案件から再開し、徐々に仕事量を増やしていくといいでしょう。
無理せず、自分のペースを守ることが長続きの秘訣です。
自分の時間とメンタルケアを大切にする
仕事と育児の両立で見落としがちなのが、自分自身のケアです。
産後うつは10人に1人が経験する身近な問題です。
「頑張らなきゃ」と無理をせず、体調に異変を感じたら早めに産婦人科や心療内科に相談しましょう。
また、月に1回でもいいので、自分だけの時間を確保することが大切です。
パートナーに子どもを預けて美容院に行ったり、友人とランチしたり、一人で映画を観たりするのです。
ほんの2〜3時間でも、リフレッシュできます。
ある調査では、7割以上のママが「時には子どもから離れ、1人になる時間が欲しい」と回答しています。
これは決してわがままではありません。
自分を大切にすることが、結果的に子どもや家族のためにもなるのです。
産後ケアホテルや自治体の産後ケア施設、一時保育なども積極的に活用しましょう。
「一人で抱え込まない」「自分を後回しにしない」ことが、長く両立を続ける秘訣です。
まとめ

参照:pixabayより
産後の仕事復帰は、法律上は産後6週間から可能ですが、実際には1年〜1年半で復帰する人が多数です。
復帰時期は、体調の回復、保育園の入園、家庭の経済状況などを総合的に判断して決めましょう。
準備としては、保育園探し(秋から開始)、職場への連絡(復帰3ヶ月前)、家族との役割分担、緊急時のバックアップ体制づくりが欠かせません。
復帰後は子どもの体調不良による突発休みや、産後うつへの対処、キャリアへの焦りなど、さまざまな壁にぶつかります。
でも、完璧を目指さず7割主義で臨み、段階的に復帰し、周囲のサポートを積極的に活用すれば、無理なく両立できます。
仕事と育児の両立は、予定通りにいかなくて当たり前です。
柔軟な心構えで、自分のペースを大切にしながら、新しい生活リズムを作っていきましょう。

コメント