会社や企業での意思決定スタイルには「トップダウン」と「ボトムアップ」があります。
それぞれメリットデメリットがあり、意思決定においてはどちらが適しているかは異なります。
どちらのスタイルにするのかは会社の経営者やプロジェクトリーダーが決めなければいけません。
今回は「トップダウン」と「ボトムアップ」の意味や違い、メリットデメリットについて紹介します。
どちらの意思決定スタイルが、自分のリーダーシップスタイルにあっているか判断する際に、本記事を参考にしてみてください。
トップダウンとは

引用:写真AC
トップダウンとは「上意下達」という意味です。
企業の代表取締役やその周辺の役員(トップ)が組織に関する意思決定を行い、それに基づいて現場が遂行する方式です。
多数の企業がトップダウン方式で経営を行っています。そのため馴染み深い方式です。
トップが強いリーダーシップやカリスマ性を持つ会社では、経営が安定しやすいスタイルです。
トップダウンのメリット
トップダウンのメリットは以下の3点が挙げられます。
意思決定から実行までのスピードが早い
トップダウン方式の最大のメリットは意思決定の早さです。
ビジネスにおいて意思決定の早い企業は有利です。
ライバル企業よりも早く今後の方針を決めることで、業界内で有利な位置を得られることも多くなります。
組織の規模が小さいほど、トップの意思が全員に伝わり実行できるため、スピード感のメリットを得られやすいといえます。
同じビジョン(将来)を共有しやすい
トップダウン方式は上層部が目標を決めて引っ張っていくため、従業員全員が同じ方向に向かって仕事がしやすくなります。
「社内がバラバラになっている」「従業員の足並みが揃っていない」などの悩みはトップダウン方式を行うことで改善が期待できます。
組織の方針による弊害が起こりにくい
トップダウン方式は上層部が決定した方針にそって業務を行うため、個人の判断による方針のずれや混乱が生じにくいこともメリットです。
また、上層部が方針を明確にすることで、従業員が自らの役割や目的を理解しやすくなります。
部署やチームとして目標がハッキリしていると、組織全体の連携が生まれ、モチベーションの向上にも繋がります。
問題に対する責任範囲が明確になるため、従業員が指示された業務に集中できるようになるのもメリットです。
トップダウンのデメリット
トップダウンのデメリットとして、以下のようなものがあります。
上層部の能力に左右されやすい
トップダウン方式では上層部が意思決定を行います。
有能な上層部であれば成果につながりやすくなりますが、能力不足の場合、誤った判断から一気に衰退してしまうリスクもあります。
現場の意見が反映されにくい
トップダウン方式では、上層部から従業員へ一方的に指示が与えられます。そのため現場の意見が上手く反映されないこともデメリットの一つです。
意見が反映されない事により、上層部と現場との間に対立構造が生まれてしまう可能性もあります。
従業員の成長に繋がりにくい
従業員は上層部が決定した方針に沿って業務を行うことが基本です。
そのため自らが意見やアイデアを出すことが少なくなります。
自己判断能力や問題解決能力が育たず、指示を待つだけの組織になってしまう可能性もあります。
ボトムアップとは

引用:写真AC
ボトムアップとは「下意上達」という意味です。
企業の従業員に意思決定権が与えられます。上層部が現場から上がってきた意見を承認する方式です。
実際に現場で働く従業員の意見を反映させることができるため、現場に合った意思決定を行えます。
多様な人から意見が出るため新たなアイデアが生まれやすくなります。
意思決定などに時間がかかるため使う際には注意が必要です。
ボトムアップのメリット
ボトムアップには、以下のようなメリットがあります。
現場の声を上層部に届けることができる
組織では現場の従業員しかわからない問題や意見があります。そういった意見が上層部に届きやすくなるのもメリットです。
従業員は細かい問題や課題をよく理解しているため、現場からの意見が新たなアイデアが生まれるきっかけになることもあります。
自分の意見が組織に受け入れられることで従業員の上層部に対する不満が減少することも事実です。
不満がなくなり積極的に業務に取り組むようになることで組織の実績に繋がります。
当事者意識が高まる
ボトムアップ方式は従業員の意見によって組織が良くも悪くもなります。
自分たちで考える機会が増えることで、従業員たちの当事者意識が高まることもメリットの一つです。
ボトムアップ方式では自分自身の目的を把握して意見をまとめる必要があります。
そのため、仕事に対するやりがいや責任感といった当事者意識が芽生えます。
与えられた業務を全うし、進んで業務改善に取り組むことができます。
組織のモチベーション向上に繋がる
ボトムアップ方式は従業員の意識によって組織が変化します。
「上層部に意見が届いている」「アイデアが導入されている」と従業員が実感できることでモチベーションが向上します。
モチベーションが向上する事により、生産性の向上や離職率の低下に繋がるのも事実です。
優秀な従業員にとって「自分の意見が受け入れられない」ことはストレスの原因になり、退職のきっかけになります。
ボトムアップ方式を採用することで優秀な人材の退職を防ぐことができます。
ボトムアップのデメリット
ボトムアップのデメリットとして、以下のようなものが挙げられます。
意思決定に時間がかかる
ボトムアップ方式では各従業員の意見を上層部がまとめる必要があります。
従業員から多種多様な意見が集まるため、それらをまとめるには時間がかかります。上層部の負担が増えることは明らかです。
そのためトップダウンに比べて意思決定に時間がかかることが大きなデメリットの一つです。
優秀な従業員が必要
ボトムアップ方式では従業員の能力に左右されるのも事実です。優秀な従業員が多いと有益な意見が集まります。
しかし、自己中心的な考えの意見が多くなると組織の崩壊につながることもあります。
ボトムアップ方式を採用するうえで、優秀な従業員の存在は欠かせない存在になります。
大きな変革をもたらすアイデアは生まれにくい
基本的に従業員からは会社に大きな変化をもたらすようなアイデアは生まれにくいです。
現在の業務内容に満足して変化を望んでいない従業員も存在します。
そういった従業員が多く存在する組織では、組織に大きな変化をもたらす意見が出ない可能性もあります。
また、新入社員などは自らの立場を意識して萎縮する可能性があります。
萎縮して自分の意見を言えない可能性もあるため、ボトムアップではそういった人たちが意見を言いやすい環境を作ることも必要です。
トップダウン・ボトムアップが適しているケース・企業

引用:写真AC
トップダウンとボトムアップではメリットデメリットがあるため、適しているケースも異なります。
ケースによって使い分けることが必要です。
それぞれどのようなケースに適しているのか解説します。
トップダウンが適しているケース・企業
トップダウンは以下のようなケースが適していると言えます。
スピード感のある経営をしたい企業
トップダウンでは上層部の一声で企業の方針が決まります。そのためスピードを重視したい企業に最適といえます。
ライバル企業より一歩前に出たいと考えている場合などに最適です。
スタートアップ企業、ベンチャー企業
資金や人員が少ないスタートアップ企業やベンチャー企業では、スピード感が大事です。
スピード感を失うことでライバル企業との競争に負けてしまい、ビジネスチャンスを失う恐れがあります。
トップダウン方式はそれらを防ぐことができます。
社内にビジネスチャンスを見逃さない優秀な上層部がいれば、チャンスを見つけた際にすぐ行動に移すことができます。
そのためスタートアップ企業、ベンチャー企業では、トップダウン方式が適しています。
ボトムアップが適しているケース・企業
ボトムアップが適しているケースは以下のようなケースです。
人材育成に力を入れたい
ボトムアップ方式では従業員から意見を集めます。
自分で考えて意見することが多くなるため、能動的かつ当事者意識を持った人材育成が可能です。
忙しい上司に何か伝える時には、現場の意見を集約し的確に伝える必要があります。
そのためには文書作成スキルやコミュニケーション能力などが必要です。
ボトムアップ方式を取り入れることで必然的にそれらのスキルが身につきます。そうすることで企業のベースアップに繋がります。
また、現場の意見をまとめる人を設けることでリーダーシップを持った人材の育成も可能です。
業態が幅広い
部署によって仕事内容が大きく違う企業では、上層部が現場の状況を全て把握することが難しくなります。
現場のことを把握できていないと、誤った判断をする可能性があります。
現場で何が必要か、何が行われているかを把握することで業務改善や効率化の鈍化、機会損失を事前に防ぐことが可能です。
ボトムアップ方式を採用することで現場に必要な情報を得ることができます。
そうすることで、経営判断の誤りを防ぐことができます。
トップダウン・ボトムアップを行う際に意識するポイント

引用:写真AC
「トップダウン方式」「ボトムアップ方式」はそれぞれ意識するべきポイントがあります。
どちらもただやるだけでは意味がありません。正しい方法で行うことが重要です。
今回は意識するべきポイントもまとめました。
トップダウンを行う際に意識するポイント
トップダウンを行う際に、意識するポイントについて説明します。
パワハラに気を付ける
トップダウン方式で最も起こる可能性があるのがパワハラです。
最近では些細なことでパワハラになる可能性があります。
たとえば、指示をする際に過剰なプレッシャーをかけることはパワハラ認定されることがあります。
自身の意見に対して反対する従業員に対して左遷や降格といった言葉を使って脅したり、強引に丸め込んだりすることはNGです。
パワハラ防止の研修を受けるなどして、気を付けるようにしましょう。
従業員が理解できるように指示する
指示する側が理解できていても受ける側が理解できない事には、トップダウン方式は機能しません。
必要なことを簡単でわかりやすく伝えることで従業員が理解できるようになります。
また、相手の反応を見ながら伝えることも大切です。相手が指示を理解できているか確認しながら話すことも大切です。
抽象的な指示ではなく具体的に指示することが大切です。
ボトムアップを行う際に意識するポイント
ボトムアップでは以下のようなポイントを意識する必要があります。
意見を出しやすい環境を整える
ボトムアップ方式で重要なことは従業員が自由に意見できる環境を整えることです。
従業員が積極的に意見をすることでボトムアップ方式は成り立ちます。
心理的安全性(どんな意見も安心して言える環境)を確保されている企業では、「意見を全否定されない」「発言の内容によって罰を受けない」という環境が整えられている。
このような環境を整えることもボトムアップ方式においては重要です。
部署の垣根を超えた組織作り
部署の垣根に捉われない組織作りも重要ポイントの一つです。
違う部署の人と交流することで新たなアイデアが生まれる可能性があります。
このような状態になれば多種多様な意見が出やすくなります。
部署の垣根を超えた組織作りとして様々な取り組みがあります。
他部署とのランチ会や飲み会、ボランティア活動を実施することで様々な部署から従業員が集まってきます。
こういった取り組みをすることで、団結力も高まり部署の垣根を超えた組織作りに繋がります。
まとめ
今回はビジネスにおける「トップダウン方式」「ボトムアップ方式」についてまとめました。
トップダウン方式は意思決定から実行までが早いのが大きなメリットです。
しかし、上層部の意見が重要視されるためワンマン運営になる可能性があります。
一方、ボトムアップ方式は現場で働く従業員の意見を反映させられますが、意見をまとめる必要があるため意思決定に時間がかかります。
上層部で意見をまとめた方がいいケースもあれば、現場の意見を聞いた方がいいケースもあります。
そのためどちらかに絞るのではなく、上手くケースによって使い分けることが大切です。
「トップダウン方式」「ボトムアップ方式」を使い分けることで企業の業績アップに繋がります。

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